「異界訪問譚ーもうひとつの世界をみる作家たちー」
2025.3.12-3.29 @Gallery MUMON
参加アーティスト
上田風子・上路市剛・草井裕子
昨年、静岡県 沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)で開催された「異界訪問譚~もうひとつの世界をみる作家たち~」の小さな東京巡回展となります。展覧会のタイトルには、アートを通して日常とは異なる世界への扉を開いて欲しいという願いが込められています。
出展作家は上田風子、上路市剛、草井裕子の3名。
上田風子氏は、少女が体験する現実と幻想の入り混じる白昼夢のような情景を独特な色使い、配色で描きます。イメージの氾濫に翻弄され、どこにもない場所へ接近できる喜びがあると、私的な感情で描かれる作品は、反面、物質・情報が飽和した近、現代に生きる同時代の人々にその現実の鏡として共感を生み出します。
上路市剛氏は、彫刻や絵画などの過去の名作をモティーフにして、そこに込められた美意識を抽出し、リアリズム彫刻へと創り変えます。過去の名作を翻訳するこのシミュレーションを通して、人物表現に隠された作者の秘めたる意図や拘りを暴き出し、そこに存在する普遍的な「美」の探求を通して、モティーフ、その作者、それを鑑賞する観衆それぞれとの交流を試みます。
草井裕子氏は、細く細くとがらせた色鉛筆の先端を使用し細密な描写で描く抽象画を、無作為に選んだ大小様々な紙に切々と刻むことで日常の詩を紡いでます。使っている素材も描いてる線もシンプルながら無限の広がりを持つ静謐な作品は、普段忘れている心の奥の声を呼び起こします。